本稿における意見・考えに当たる部分は堀古英司氏個人のものであり、東京金融取引所の見解を示すものではありません。本稿を用いて行う一切の行為及び本稿に基づいて被った被害について、本取引所は何ら責任を負うものではありません。取引をされる場合は、取扱業者から交付される契約締結前交付書面等の書面の内容を十分理解した上でご自身の判断で取引を行ってください。
第1部:「NYダウを、『析る』」

第2部:「米国経済・株式市場の見通し・ヘッジファンドの思考」


第2部
米国経済・株式市場の見通し・ヘッジファンドの思考 (3/3)
アメリカの長短金利差は健全な状態にある

 さて、株式投資に適した条件の2つ目に「FRBが市場に優しい」ことがあります。なかには「FRBの利上げは市場に優しくない」と考える人もいるでしょう。ですが、ここでの重要な判断基準は、実質金利がマイナスかどうかです。金利は経済状況がいい時に上がり、悪い時には下がります。今は、経済状態はいいけれど、それほど金利は上がっていず、実質金利はマイナスです。それだけでじゅうぶん市場に優しいと考えていいと思います。

過去を振りかえると、最初の利上げから1年後に株価がマイナスになったことはありません。


最大上昇率を見ると平均で30%程度は上昇しています。景気がいいから利上げを行うことを考えたら、最初の利上げ後に株価のパフォーマンスがいいのは、当然といえば当然です。

とはいえ、「金融危機は、バーナンキ前FRB議長が金利を5%以上に引き上げたことが引き金ではないか」と考える方もいるでしょう。それは、その通りかもしれません。金利は上げることが問題ではなく、上げすぎることが問題、つまり程度の問題と言えます。上げすぎかどうかは、イールドカーブという、長期金利と短期金利の差を見るとわかるでしょう。過去のデータを検証すると、短期金利を上げすぎて長短金利差が逆転(短期金利が長期金利を上回る)するとリセッションが起きています。



というのは、銀行が短期金利で資金を調達して長期金利で投資をするため、短期金利と長期金利が逆転すると逆ざやになるからです。銀行がお金を貸し出さないと、世の中にお金が回らなくなり、経済が悪化します。いわゆるリーマンショックの時も1年半ほど前に長短金利が逆転しています。ちなみに、4つ目の「誤解」ですが、あの金融危機を「リーマンショック」と呼ぶのは日本だけです。何のことか分かってはもらえると思いますが、アメリカでは通常使いません。
今の長短金利差は、完全に健全な状態と言えます。今年利上げが行われるかどうかはわかりませんが、アメリカ経済はゆっくりながら回復していますから、いずれ利上げがあるでしょう。とすると、利上げの初期段階にある今は、株式投資にベストな状態ではないかと私は考えています。


人口が増え、経済が成長するアメリカの株は長い目で見ると上がる方向に

 株式投資に適した条件の3つ目は、私がもっとも大事だと考えていることですが、バリュエーションが割安かどうかです。どんなに市場が怖がり、FRBが優しくても、株価が高かったら上がる余地がないからです。

 株式市場の大きな特徴として「株価が利益に忠実」ということがあります。過去23年間のアメリカ株と利益の関係を見てみると、利益が伸びるとそれを追いかけるかたちで株価も上がる、つまり株価は利益に裏付けされていることがわかります。


ただし、行き過ぎると利益を追い越して株が買われて、バブルが起こります。ただし、日本株のように下がり続けるわけではありません。長期的には利益は伸びていきますから株価はどこかの時点で下げ止まり、再び上がります。アメリカでは人口が増え続け、経済も成長しています。長期的に見れば、アメリカの株は上がる方向にあると言えるでしょう。

 では、現状はどうでしょうか。去年から今年にかけて数年ぶりに利益が伸びない状態が続いています。これは2014年の半ば頃からドルが急上昇した影響です。アメリカを代表する企業には、収益の7割程度を海外で稼ぐところもあるため、ドル高になると利益が伸びにくくなるのです。ドル高になった背景には、既にお話したようにドルの実質金利急上昇があります。その実質金利は昨年12月から急低下し、ドルも年初から下げる方向にあります。これは企業収益を押し上げる要因になるため、年後半に向けて利益回復が期待できるでしょう。

 第1部でも触れましたが、株式の配当利回りが10年国債の利回りを上回っていることは、株価が割安であるサインだと言えるでしょう。さまざまな不透明要因もあるとはいえ、株式は最終的には利益を反映して動くものです。私は長期的に見た場合、NYダウは上がると考えています。その過程では、いろいろな経路を辿るとは思いますが、少なくとも今は売るタイミングではないと思います。





(注)買いポジションを保有の場合:配当相当額を受取り、金利相当額を支払います。(ただし、金利相当額の支払い額が配当相当額の受取り額を上回る場合があります。)売りポジションを保有の場合:配当相当額を支払い、金利相当額を受取ります。一部の海外株価指数証拠金取引については、配当相当額は発生しません。
(注2)1月1日(この日が日曜日の場合は1月2日)、海外株価指数について、当該指数を構成する銘柄が取引される取引所の休業日、を除きます。

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